第51回日本小児神経外科学会開催にあたって
テーマ:小児神経外科Next Step 〜50年の先の世界へ〜
「マスクをはずそう」
第51回日本小児神経外科学会
会長 五味 玲
(自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児脳神経外科)
この度、第51回日本小児神経外科学会を宇都宮市のライトキューブ宇都宮で開催させていただく運びとなりました。伝統ある本学会の会長を務めさせていただくことを、自治医科大学脳神経外科教室員一同とともに大変光栄に存じております。
この3年間近くわれわれはコロナウィルスに翻弄されて来ました。常にマスクを外せず、表情のわからない相手と、できるだけ接触せず、余計なことを話さない日々でした。そして、いつの間にか、口を覆うだけだったマスクが、希望とか、意欲とか、冒険とか、そのような心をも覆っていたような気がします。
今、マスクをはずして、閉ざされた心を解放する時です。内に向きがちだった視線を180度転換させて、外の世界に向けましょう。
今回の学会では、新しい世界への挑戦を、特に若い方々に考えるきっかけになってほしいと考えています。そのための企画として、特別講演として尾身茂先生にWHOの挑戦を、間野博行先生にはゲノム医療への小児がんへの展開についてお話しいただきます。また海外からのゲストの先生には、小児神経外科の世界的な最前線と、日本への期待をご講演いただきます。
他分野の先生の貴重な講演や、今後、小児神経外科医が重点的に取り組むべきと考える、てんかんなどの機能的疾患の外科治療のセミナーを企画し、少子化の世界での小児神経外科の新しい方向性を見いだせればと思います。
シンポジウムでもそれぞれの分野で新しくホットな話題を取り上げたつもりです。頭蓋形状矯正ヘルメットについては多数の応募をいただきシンポジウムを2つにしなければなりませんでした。小児脳腫瘍では、鏡視下手術、ゲノム医療、再発腫瘍の治療をとりあげ、二分脊椎やシャント、血管障害の新しい展開についても熱い議論を楽しみにしております。虐待についても、様々な問題を解決すべく、他分野の講師をお招きしています。
われわれが進むべき道とその先の展望を、様々な角度から議論し共有できる機会になれば幸いです。
会場は宇都宮駅東口に昨年11月に完成したばかりの多機能施設のコンベンションセンターです。ライトキューブの「ライト」は「雷都」です。夏の宇都宮の風物詩の「らいさま(雷様)」に由来します。宇都宮市の新しい顔となるこの施設に、是非とも多くの皆様にご来場ご参加いただきますことを心から願っております。
2023年5月
© 2022 The 51st Annual Meeting of the Japanese Society for Pediatric Neurosurgery